シナリオ保管庫

北条作のCoCシナリオ

ー本編ー

 

『犠牲と安楽』

<概要>はこちら

 

導入

 探索者はいつも通りの日常を送っている。今日もいつも通り過ごしたあと、ベッドに入るだろう。次に目を開けると、そこは自分の部屋ではなく、見知らぬ場所であった。

 (探索者に与えられた時間は60分という設定。)

 

本編

 探索者が目を覚ますと、自分のベッドではなくバスタブの中にいた。ここから探索開始となる。

 

■探索者の体

 服装は寝たときのまま。持ち物はない。普段眼鏡やコンタクトをつけている場合はその状態で目を覚ます。

 片足に足枷が付いており、バスタブの底に鎖で繋がっている。(どちらの足でもよい。)

 非日常的で異様な状態にSANチェック

 <SANC> 1/1d2

■部屋全体

 100㎡ほどの、白くて四角い部屋。

 *図1

 自分の入っているバスタブ、正面の壁に埋め込まれた砂時計、その下に6つの黒い箱、部屋の右側には机と椅子、左側には棚、中央にはビニールシートのかかったなにかがある。

 

【バスタブ】

 探索者が目覚めた場所。膝を折って入れる位の広さ。メモが一枚入っている。

・メモ

 『生きたければ犠牲を払え。終わらせたいなら出口から出ればよい。』

 バスタブを壊すことはできる。KPの判断で、STR判定でも自動成功でもよい。

 

【足枷と鎖】

 鍵穴は無い。なにをしても外れない、引き抜くこともできない。すべての技能ロールは自動失敗となる。

 鎖は部屋の中央(ビニールシートの場所)までいけるぐらいの長さ。棚と机には届かない。

 バスタブを壊しても床底に繋がっているので抜くことはできない。

 

【ビニールシート(人のようなもの)】

 不規則な凹凸があり、それなりの大きさであるようだ。

 <目星>

 自分の体と同じぐらいの大きさ。

 

 側には鉈とハンマーが置いてある。

 

■シートを外す

 (探索者と同じ性別の)一見、人が横たわっていると思うだろう。また、それは探索者と同じ格好をしている。

 何をしても反応しない。起こすことも出来ない。

 

 外した状態で<目星>

 成功:人間のように見えるが、どこか違和感を覚える。

 目星クリティカル、医学、生物学成功:人間に近い形をしているが、人間とは異なる、別の生き物であることがわかる。

 失敗:よくわからない。

 ファンブル:自分と同じ人間であると思う。

 

■触る

 生暖かい。触った場所と同じ場所に違和感を覚える。

 例、右腕を握る→右腕を握られたような感覚がする。

   顔を触る→顔を誰かに触られたような感覚がする。

 

 

【鉈とハンマー】

・ハンマー

 頑丈そうなハンマー

・鉈

 切れ味のよさそうな鉈。

 <アイデア

 足枷から抜け出すにはこれを使うのではないか。

 

・鉈またはハンマーを足に使わなければ、机、棚、箱の探索は出来ない。

 探索者が足に使うことを思いつかなければ、再度<アイデア>などで判定するのもよいだろう。

 例、これで足を切らなければ(砕かなければ)足枷から抜け出せないのではないか。

 

■鉈またはハンマーを使用して足枷から抜け出した

 なぜか痛みを感じることはない。しかし、そこには無残な形になった自身の足がある。自分で自分の体を傷つけたショックと、痛みを感じないという不気味な出来事にSANチェック

 <SANC> 1d2/1d5

 

 *足枷および鎖に使いたいと宣言したら使わせてもいいが、まったく歯が立たないことを伝える。

 (わざと怪我をさせ、痛みを感じないことを伝えてもよい。)

 しつこく外そうとしたら、SAN値を減少させる。

 <SANC> 1d2/1d4

 (何をしても絶対に外れない足枷、鎖に言いようの無い恐怖を感じる。)

 

 それでも足枷または鎖に使うと宣言したら、使った道具を破壊させる。破壊させた後は、壊れた道具を使う際、都度<DEX×2>(片腕の場合DEX×1)で判定させる。

 (ロストの可能性が高まるので、足に使うことを勧めるのがよい。)

 

 *KP情報:この空間では、自分の体を傷つける行為によるHP減少はない。痛みも感じない。出血はすぐに止まる。

 

 鉈は、【黒い箱】に入れる体の部位を切るためにも使う。

 

【机と椅子】

・椅子

 なんの変哲もない椅子。

・机

 引き出しが1つだけ付いている、ごく普通の机。

・引き出し

 鍵はかかっていない。

 中には1枚の紙が入っている。

 *図2 

 『上手な切り方』

 人の全体図が描かれていて、両肩、首、足の付け根に赤い線が引いてある。

 <目星>

 *図2裏

 表と同じ図が描かれていて、頭、両腕、胴体、両足に数字が書かれている。また腹部に鍵の絵が書かれている。

 

【棚】

 数冊の本、西洋人形が置いてある。

・本

 様々な言語で書かれた本が並んでいる。

 <目星>

 『死者の書』『魔女への鉄槌』『金枝篇』(写本)

 それぞれの本の詳細はルルブ参照。シナリオには直接関係しない。

 

 *KP情報:本を手に取る動作をしたら、シナリオクリア後に探索者の家に調べた本が置かれている。(読んでいなくても置いてある)

 

 

【人形】

 かわいらしい服を着た西洋人形。 

 <目星>

 自分と同じ顔をしていることに気づく。

 

■人形に触る、手にとってみるなどの宣言をした場合

 人形が突然しゃべり出だす。

 「ここから出たい?」

 突然しゃべりだした人形に驚く。

 <SANC>:0/1d2

 

■人形の問いかけに対して

 「出たい」と答える→「鍵を頂戴」という。

 「出ない」、何も答えない→「終わらせたくなったら鍵を持ってきて頂戴」という。

 

【鍵】

 銀色の小さな鍵。

 【人のようなもの】の腹部に埋まっている。取り出すには鉈で腹部を裂く必要がある。

 *鍵を取り出すために腹部を裂く場合は、鉈が壊れていなければロールは必要ない。

・腹を裂く

 腹部に焼けるような熱さと鋭い痛みを感じる。

 <CON×5> 失敗しても鍵は取れる。

 成功:HP-1

 失敗:HP減少 1d5

 

■鍵を渡す

 人形が「ありがとう」と言うと、一瞬のうちに人形と棚が消え、棚があったはずの場所には扉が現れていた。

 重そうな鉄の扉。調べても情報はない。

 扉に入る→END2

 

【砂時計】

 大きな砂時計が壁に埋まっている。横に星のマークが3つある。

 *砂時計は制限時間を表している。この砂が落ちきったらゲームオーバーとなる。

 星のマークはやり直せる回数。詳細は【黒い箱】に記載。

 

【黒い箱】

 6つの黒い頑丈そうな蓋のある箱が並べてある。鍵はかかっていない

■箱を調べる 

 それぞれの箱の蓋の表に、数字が書いてあるのがわかる。 

 10、10、10、30、20、20。

 中身はなにもない。

 この数字と図2裏の数字は対応している。

 

 <目星>

 箱の裏に何か書かれている。

 『開けたら閉めましょう』

 

■箱の数字と同じ数になるように体の部位を入れる。

 すべての蓋を閉じると、いつの間にか側にいる人形が確認をしてくる。(先に鍵を渡して人形が消えていた場合も同様)

 「これでいい?」→いい 

 箱の数字と入れた部位の数値があっている →END1

 間違っている →星のマークが1つ消える。箱の蓋が開き中身が出てくる。

        →よくない、やり直すなど、よい以外の答えをしたとき

          星のマークが1つ消える。箱の蓋が開く。

 

 星のマークが消えると何かが砕ける音がする。 <目星>、<聞き耳>の成功または、砂時計を見る動作をしたら、星のマークが消えていることに気づく。

 

■星のマークが全部消えた。

 すべて消えたら真っ暗になる。目星は自動失敗となる。

 →END3

 

***箱に入れる部位について***

 【人のようなもの】でも、自分の体でもよい。

■【人のようなもの】を切る *道具が壊れていなければ技能は必要ない。

 1つの部位を切るごとに、切った部位と同じ場所に焼けるような熱さと鋭い痛みを感じる。

 <CON×5>で判定

 成功:HP-1

 失敗:HPを1d5減少させる。

 *【人のようなもの】を切るごとに<CON×5>で判定させる。

 *【人のようなもの】に対する技能でファンブルしていた場合は、切るごとにSANチェックを行う。

 人の体を切るという冒涜的な行いに、罪悪感と恐怖を感じた探索者は、SANチェック

 <SANC>1d3/1d6。

  

 ・自分の怪我ではないので【人のようなもの】に医学、応急手当を振ってもHPは回復しない。

 

 道具を使わずに引きちぎるなどの宣言をしたら、<STR×5>で判定したあと、CON判定を行う。

 引きちぎった部位と同じ場所に焼けるような熱さと引き裂かれる痛みを感じる。

 STR成功:<CON×5>

 CON成功:HP-1

 CON失敗:HPを1d5減少させる。

 

 あなたが引きちぎった場所から血が溢れ出してくる。どくどく、どくどくと、止まる気配がない。いや、あれは、血ではない。肉だ。赤黒い肉が脈打ち、傷をふさいでいく。完全に塞がれる一瞬、なにかと目があった。あなたは本能的にそれに恐怖を感じるだろう。

 SANC 1d6/1d10 (ショゴスを見て失う正気度は1d6/1d20だが、一瞬のことであるため、最大正気度は半分の数値にしている。)

 

■自分の体を切る

 あなたは自身の体を切り裂いた。しかし痛みを感じることはない。

 自分で自分の体を傷つけたショックと、痛みを感じないという不気味な出来事にSANチェック

 <SANC>:1d2/1d5

 *自分の体を切るごとに<SANC>をさせる。

  足を全部切っても、動くことはできる(匍匐前進みたいにして這うことができる)。

 

 *合計値があっていれば、どの部位を使ってもかまわない。

 例)20の箱に右腕(10)と左腕(10)を入れて、合計20にする。

 

■自分の体に【人のようなもの】をくっつけると宣言した場合

 くっつく。技能は必要ない。

 (この行動はほぼロスト直行なので、KPは避けるように誘導したほうがよい。)

 

 その腕(足)を付けてみたが、痛みはない。だが、あなたは感じるだろう。何かが己の肉を裂き、骨に絡みつき這い上がってくる感覚を。まるで自分を取り込もうとしているかのように。

 SANC:1d3/1d6

 

 つけたものを外す場合は、自分の両腕が残っていれば<DEX×2>、片腕なら<DEX×1>で判定。何度行ってもよいが、その分時間を経過させること。

 DEX成功:<CON×5>

 CON成功:HP-1

 CON失敗:引き裂かれるような痛みを感じる。HPを1d5減少させる。

 

 外さなかった場合でも探索はできる。

 ・外さないままクリア条件を満たす。

 →END4

 

・【人のようなもの】に自分の体をつけると宣言した場合

 くっつく。技能は必要ない。

 自分の体を外すのは、道具が壊れていなければ技能は必要ない。1つの部位を切るごとに、<CON×5>で判定。切った部位と同じ場所に焼けるような熱さと鋭い痛みを感じる。

 成功:HP-1

 失敗:HPを1d5減少させる。

 

・時間切れ

 →END3

 

・自殺

 →END5

 

 

図1

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図1(表示あり)

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図2

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図2裏

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++++++++++

END

1.すべての箱に体を入れる。

 「なかなか楽しませてもらったよ」

 何処からか聞こえてきたその声に疑問を抱く前に、あなたの意識は遠のいていく。

 目が覚めると、そこはいつも通りの自分の部屋だった。体を確かめてみるが、そこにはしっかりと、自分の手足が付いている。きっとあれは夢だったのだろう。僅かに感じる痛みも、手に残る肉の感触も、きっと、気のせいだ。

 

 シナリオクリア。

 報酬 SAN値回復 

 ・無事生還した 1d8

 ・自分の体を1つでも切って箱に入れた 1d6

 

 

2.扉に入った

 扉の先は真っ白な空間が広がっていた。美しい声が自分を呼んでいる、自然と足が動き出す。一瞬の浮遊感があなたを襲い、意識を手放した。

 外には朝日が昇り、人々がいつもの日常を送り出すだろう。あなたを除いて。

 

 探索者の死亡。キャラロストとなる。 

 

 

3.3回間違えた、時間切れ

 「君は頭が悪いな。これ以上生きていても意味はないだろう」

 誰かの声と何かが砕ける音が聞こえると同時に、視界が闇に染まる。部屋中に響き渡る何かの鳴き声を聞きながら、あなたの意識は遠のいていく。 

 目を覚ますと見慣れた天井が目に入る。いつも通りの自分の部屋だ。しかし、いつもとは何かが違う。鼻を突く鉄の臭い、あたり一面に広がる濁った赤色、床に転がる見覚えのある体、それに覆いかぶさる黒っぽい玉虫色に蠢くなにか。それがなにかを理解することは、永遠にないだろう。

 

 探索者の死亡。キャラロストとなる。

 

4.自分の体に【人のようなもの】をくっつけたままクリア条件を満たす

 「愚かな君にはぴったりな姿だな。楽しませてくれたお礼だ、それはあげるよ」

 何処からか聞こえてきたその声に疑問を抱く前に、あなたの意識は遠のいていく。

 目が覚めると、そこはいつも通りの自分の部屋だった。体を確かめてみるが、そこにはしっかりと、手足が付いている。嫌な夢だった。悪夢を見たせいか、体中が痛く、起き上がろうとしてもうまく動けない。まるで、自分の体ではないようだ。

 

 この後、探索者の体はくっつけた何かに乗っ取られる。キャラロストとなる。

 

5.自殺する

 「そんな簡単に死んじゃったら、つまらないじゃないか」

 ふと、意識が引き戻される。生きている、自分は確かに死んだはずなのに。疑問に思う間もなく、あなたの意識はそれに支配されるだろう。チカチカと点滅を繰り返す緑色の光、鼻を突く悪臭、黒っぽい玉虫色のそれは伸縮性を持って近づいてくる。

 テケリ・リ!テケリ・リ!

 「さあ、もっと楽しませてくれ」

 

 探索者の死亡。キャラロストとなる。

 

 

舞台背景

 ニャルラトテップの人間観察室。

 人間は何処まで生に執着するのか観察するために作った部屋。適当に選んで連れてきた人間を閉じ込めて観察している。

 痛みと不安に負けて楽な死を求めるか、生にしがみつくかを見ていた。ただずっと見ていても飽きてしまうので制限時間を設け、時間内に答えを出せなかった者、3回間違えた者は殺していた。

 

 

・メモ

 『生きたければ犠牲を払え。終わらせたいなら出口から出ればよい。』

 黒い箱に体(またはショゴス人間)を入れて部屋からでるか、諦めて扉からでて死ぬか選べということ。

・扉

 体も魂もすべて消えてなくなる。完全な死。

・人のようなもの

 ショゴスで作られた人間もどき。このショゴス人間と探索者の痛覚は交換されていた。自分の体を切っても痛みがなく、逆にショゴス人間を切ると痛みを感じたのはこのため。ニャルラトテップの戯れ。

・オカルト本

 手に取る動作をした本があれば、持ち帰ることができる。ニャルラトテップからのプレゼント。この本をどうするかは探索者の自由である。 

 

 

CoCシナリオ 『犠牲と安楽』

『犠牲と安楽』 一人用シナリオ

 

・基本情報

舞台:現代日本(クローズド)

推奨人数:1人

プレイ時間:テキセで2時間半

推奨技能:<目星>、<聞き耳>、思い切りの良さ

なくても問題ないけどあるといいかも?:医学または生物学

SAN値またはCONが著しく低いとロストの可能性があります。

KP難易度:★(シナリオをきちんと読んでいれば問題ないです。

PL難易度:★★

真っ白な部屋に閉じ込められた探索者。ここから出ることが出来るのか。

<犠牲と安楽>

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管理者:北条

 

*2016/08/13 追記、変更。

 

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最新更新日

2107/11/21 シナリオ内で発見できるアイテムを一部変更しました。

2016/08/13 利用規約内容を一部変更、追記しました。

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